八月の四方山話(はちがつのよもやまばなし)
8月のこの猛暑はますます秋風が待ち遠しくなる日々です。
まさに立秋とは名ばかりです。飲食では食べて"涼"をとるものがたくさんあるのですが、この立秋には瓜や蓮藕(リェンオウ はす)を食べるのが伝統的な行事となっている中国の地方もあります。
この瓜についても種類は多く一般的に黄瓜や冬瓜、若瓜、又絲瓜(スウグワ へちま)や錦絲瓜(ヂンスウグワ 糸うり)等々、瓜づくし料理もできます。何といってもお手軽に涼がとれるのは甘い瓜で西瓜や蜜瓜(ミィグワ メロン)のたぐいです。食べ終わったあとの清涼感はどなたも、「そういえば汗がひいた」と思い当たることでしょう。これら瓜は"寒の性(かんのしょう)"で食材の持っている性質なのです。
食物には、体を温めたり逆に冷やしたりするものや、又冷やしも温めもしないものがあるということなのです。大きくわけて、温熱性、寒涼性、そして平性という性質がありますので、瓜類にはこの寒涼性の性質があるわけです。又ビールの苦みや、アイスコーヒーの味、冷たい緑茶がおいしいのも、この夏にぴったりということなのですが、おいしいと感じる理由は中国の五味の酸、苦、甘、咸(塩味)、辛、があって、その味が体に作用して効能となるわけです。例えば苦味は体の熱を冷まし湿を取り除く作用や降下作用を持っているので、この暑さには、のぼせを下げてとても良いということになるのです。
ただ胃が冷え過ぎて冷たいもののとりすぎにご用心。夏だからといって冷たいものをとりすぎて消化不良などにならないよう夏バテに気をつけましょう。たまには、温かい飲み物もおすすめ致します。
ご存じでしょうか、くず切りがおいしいのも"大寒の性"のくずですから、でもそれにひきあう黒砂糖の"温"が蜜としてかかっているから一層おいしいしバランスがとれているのです。
この8月15日は立秋から秋も半(なか)ばを過ぎて中秋という旧暦の暦の上のお月見なのですが、酷暑ですので中秋の雅びな風習は、又次回ということにいたしましょう。